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糖質制限と甲状腺ホルモンとコレステロールとケトン体の関係

コレステロールは一般に甲状腺ホルモンと逆相関しますが、その作用機序は複雑です。

甲状腺ホルモンとコレステロールの関係は、甲状腺ホルモンが働くと①HMG-CoA還元酵素を活性化しコレステロールの合成が促進し血中コレステロールが上がる。②コレステロールの肝臓への取り込みが促進し、コレステロールの胆汁排泄が促進して血中コレステロールが下がる。③さらにコレステロールからプロゲステロンなどの体に必要な保護的ステロイドへの変換が促進され、血中コレステロールが下がる。大まかにはこれらのバランスで血中コレステロールが変動します。

糖質制限すると甲状腺ホルモンは低下しLowT3になりコレステロールは上昇します。これは①より②や③が抑制された結果、血中コレステロールは上がることが多いためです。

甲状腺ホルモンが上昇した場合は、一般には②や③が優先され血中コレステロールは下がりますが、場合によっては、血中コレステロールが上がる人もいます。これは①が優先されたためと考えられます。

一方、ケトン体についても一般に甲状腺ホルモンと逆相関することが多い。
糖質制限をすればするほど、甲状腺ホルモンは低下(LowT3)し、LowT3はTCA回路の働きを低下させます。TCA回路が低回転になるほど、アセチルCoAの余剰分が増えるので、そのアセチルCoAは肝臓でケトン体に変換されるので、糖質を制限するほど、甲状腺ホルモンは低下し、ケトン体は多く産生されます。もちろんケトン体の産生量には個人差はあるでしょう。

なんで糖質を制限すると、TCA回路が低回転になるのか? それは、ミトコンドリアのTCA回路の働きには甲状腺ホルモンが要になっているからです。

このグラフは糖尿病患者さんが糖質制限+SGLT2阻害薬を投与した際に、LowT3となり、コレステロールとケトン体が正の相関をしめしました。
糖質制限+SGLT2阻害薬では、筋肉への糖の取り込みがかなり低下するので、TCA回路が低回転になりケトン体は多く産生されます。そしてコレステロールはLowT3により②、③が優位に抑制されるので血中コレステロールは上がります。③が抑制されることは、体に必要な保護的ステロイドが作られないのでコレステロールの急上昇は体にとって危険なストレスサインです。

過剰な糖質摂取を控えることは健康であるために重要であり、大方の共通認識です。では、糖質をさらに減らして、ケトン体を追求し高ケトンにすると、もっと体調は良くなるのか??

個人によって糖質制限をストイックにすると体に力が入らない、エネルギーにならないと感じることがあります。それは甲状腺機能低下症の症状かもしれません。

そもそもケトン体高値を追求すると、LowT3になりミトコンドリアの働きは低下し体は省エネモードになるのですから、エネルギッシュになんてなりません。


糖尿病患者のケトン体とコレステロールの関係
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プロフィール

福田世一

Author:福田世一
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これまで透析専門医や腎臓内科医として診療に携わっていましたが、2012年4月千葉市若葉区にクリニックを開業。内科だけでなく外科、整形外科、小児科、皮膚科に対応し、MEC食(肉、卵、チーズ)でトータルにケアする総合診療医を目指しています。